自作の発芽育苗器が出来上がったところで、ちょうど今が夏野菜の種蒔き時期ということから早速作成したばかりの発芽育苗器を使用して幾つかの夏野菜の播種をしてみましたので、発芽に至るまでの様子を使用レポートとして纏めてみました。
先ず発芽育苗器を使用するにあたって、アンカの熱源の温度を測定した際に41℃まで上がることが確認されましたが、この発芽育苗器を使用して土壌温度が果たしてどの程度まで上がるのかということが心配になりますので、土壌温度を測定するためにホームセンターで園芸用として売られていた安価な使い捨てのミニ温度計を見つけましたので購入してきました。
地温測定の記述をする前に種の発芽温度について興味深い記事を紹介します。 野菜の種類によって発芽最適温度の違がいはあるようですが、私の発芽育苗器には温度調節機能はありませんが、蓋に隙間を持たせることで温度調節は簡単に出来ることが一晩で確認できましたので、現在は夜間の通電時にその時の雰囲気温度も考慮しながら30℃を少し下回るようにしております。
さて育苗トレイ内の地温の変化の観察ですが、ここからは下記の2つの方法で地温がどのように変化するのか調べてみました。
@ 自作の発芽育苗器を室内に置いた状態(写真、前側)
A 1坪温室の中で夜間に何の保温もしない状態(写真、後側)
2月8日 PM 7:00
この時点での室内温度の測定はしてありませんでしたが、写真で見られるように発芽育苗器(発熱ヒーターには未通電)はこの段階で地温は12℃で、温室の中のポットの地温は10℃とほぼ同じような状態でスタートとなりました。 発芽育苗器の方は最初の温度確認が終わった後で発熱ヒーターの電源を入れました。
2月8日 PM10:00
この時点における玄関の中の温度は12℃で、屋外の温度は6℃でした。 発芽育苗器の温度ですが、発熱ヒーターの電源を入れてから3時間の経過で、何と22℃まで上昇しており、逆に温室の中の未保温状態のポットの地温は6℃と外気温と同じような温度まで下がっており、この段階では発芽育苗器の方には一応の効果が見られました。
2月9日 AM 7:00
久し振りに好い天気で暖かな日が続いていましたが、今日は朝からどんよりした曇り空になり部屋の中の温度は10℃、屋外の温度は5℃を指していました。
そして発芽育苗器の地温ですが、昨夜の午後10時時点での地温とほぼ同様な25.5℃を示しており、やや隙間を空けておいた発泡スチロールの上蓋には写真のように水滴がかなり付着していました。 これは発熱ヒーターの効果で中の温度が上昇し、外気温との差が生じたことではっきり効果がでていることかと思います。
尚、発芽後については発泡スチロールに蓋は光を通さないことから、市販品の板厚1.5mmの透明アクリル板を使用しております。
以上のようなことから種子によって発芽適温の違いはありますが、トマトでの発芽の適温は20〜30℃と記述されていますので、どうやらこれにはクリアしたようです。
こんな感じで最初の発芽育苗がスタートしましたが、2月8日の午後に育苗トレイに播種してから6日目を迎えた時点では、写真のように先ず最初にキャベツが3日目に、次にスタピストマトが4日目、更に大玉トマトの露地ゆたかが5日目の朝という、この酷寒の時期でありながらも夫々の順調な発芽を確認できました。
例年、野菜の播種から発芽、定植そして収穫に至る耕作メモを記録しておりますが、一昨年(2007年)は温室の中で播種後に未保温のままで育て、昨年(2008年)は大型の発泡スチロール箱が手に入りましたので、簡易的な温床を作って発芽させたところ、かなり発芽までの日数が短縮されました。 そして今年(2009年)は自作の発芽育苗器となったわけですが、下の表でも一目瞭然ですが素晴らしい結果に結びつくことができました。
品 目 |
品種名 |
2007年2月 |
2008年2月 |
2009年2月 |
温室で未保温 |
温室で温床使用 |
発芽育苗器 |
キャベツ |
− |
09日 |
06日 |
3日 |
トマト |
露地ゆたか |
14日 |
07日 |
5日 |
スタピストマト |
11日 |
07日 |
4日 |
ピーマン |
あきの |
20日 |
14日 |
9日 |
シシトウ |
万願寺唐辛子 |
− |
09日 |
7日 |
発芽がこんなに順調に進んでいることは良いのですが、チョット気掛かりなのはあまりにもぬくぬくと育って苗が徒長しないかということです。 てな訳で、今日から日中は発芽育苗器から出して温室の中の棚の上に置き、日中は温室の温度もかなり上がりますので土壌温度が30℃前後になるように温室の窓をあけ、太陽と風にも当てながら水も控え目にして元気な苗に育つようにします。
いずれにしましても、私の作った発芽育苗器には温度調節が出来るような装置はありませんので、発熱体の内臓サーモスタットによる定常的な温度調整を期待する以外に方法はありませんが、過度に温度が上昇するようなことも予想されず、発芽をするために最適な温度を補助できる程度であれば上出来といえるのではなかろうかと思います。
何といっても21Wの消費電力は、一晩フルに使っても2円にも満たない金額ですがら、これから元気に活躍してもらおうと思っております。
(参考事項)
夜間は室内でも温度が下がり、育苗箱内の温度上昇に伴い水滴ができ、この水滴が上蓋に付着し育苗箱の底の方に垂れ落ちることがあります。
製作過程における写真では若干判り難いのですが箱と電気アンカとの間に僅かな隙間ができますが、この部分にはティッシュペーパー数枚をくるくる巻いて棒状にしたたものを詰め込んでおいて水滴を吸収させることで、実際の使用結果において上蓋に付着しした水滴は早朝確認すればそれ程垂れ落ちていることもなく、この程度の処置で発熱シートへの漏電については問題ありませんでした。
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