お話し

ここに掲載した内容については、私の大変少ない経験の中から感じたこと等を、耳目学問と光郷城畑懐さん等で知り得た情報を基に、勝手気ままに書いたもので、一部については無手勝流とお見知りおきください。   (2002.6.12)


・ 種の話し  〜  その壱 ( 交配種と固定種 )

昨今ではF1(交配種)が全盛、出来た野菜は一代限りの生命となり、種を採っても同じものが出来ないため、毎年種苗店から新しい種を購入することが常識となっています。生産者や販売者そして消費者等の側からの要求を満たすために種々の品種改良がなされることから仕方ないことかも知れません。
品種改良がされた野菜にいたっては、人参を例にとると、確かに形や色合いは見た目に良く保存性もあり、人参独特の臭みが無くて人参嫌いな人にとっては好まれるのこも知れませんが、何か物足りなさを感じてしまいますよね。 ピーマンや胡瓜、トマトについても夫々に同様なことがいえると思います。

その点で固定種や在来種は発芽や生育に不揃いという弱点がありますが、これは逆な発想をすれば順次育っていく順に収穫が楽しめるということになります。 また優れた点としては、交配種は一代限りである反面、固定種は種の自家採取をして翌年にそれを使うことが出来るという点があります。 自分が 「これだ」 と思った野菜の種を全てのものに対して言えることではないにしても、自家採取して使用するということが出来る訳です。


・ 種の話し  〜  その弐 ( 種の袋 )

F1(交配種)と固定種の見分け方については、種袋の表面に「F1」「一代交配」「○○交配」と書かれているものは、全てが交配種です。 固定種や在来種については、それらの文字が書かれていませんので、これで判断されて良いでしょう。

大手メーカーの人気のある品種や力を入れている品種以外、特に固定種の種袋は、種袋を作っている会社からっ袋を購入して詰められています。
これらの種袋は、各地域ごとやその品種に関わる細かな説明の入ったものを作ることは、コスト的にも無理な場合が多々あります。 従って、袋の裏面に書かれている栽培方法は間違いではありませんが、これらを全てとして鵜呑みにするのではなく、種苗店や専門店の方などにお聞きすることが一番良い方法かと思います。

自分で購入された種の播種時期が、チョット早かったり遅かったりしたことによって、折角時間をかけて大切に育て上げたところ収穫してみたら、満足な出来栄えにならなかったり、とう(薹)立ちが早かったりとなってしまうケースを私も経験したことがあります。 玉葱を作って収穫する時期になったら、ネギ坊主が出来ていて食べ物にならなかったなんていうのは、笑い話にもなりませんよね。


・ 種の話し  〜  その参 ( 種の寿命と保存方法 )

種の寿命は、植物の種類によって、また保存する環境によって、そして栽培された環境によって大きく変化します。 種の間は、発芽する条件が揃うまでは眠っている状態です。 要は、「どれだけ気持ち良く、ぐっすり眠って頂くか」 ということになります。

◎ 種子の寿命の目安 ( あくまでも目安です )

 ・ 長命種子(4〜6年)   茄子、トマト、西瓜
 ・ やや長命(2〜3年)   大根、カブ、白菜、胡瓜、南瓜、つけ菜
 ・ やや短命(2〜3年)   キャベツ、レタス、牛蒡、ほうれん草、豌豆、インゲン、そら豆、唐辛子
 ・ 短命種子(1〜2年)   葱、玉ねぎ、人参、落花生、みつば

◎ 保存方法
種子が一番嫌うのは、湿気と高温です。 湿気が多くなればなるほど発芽率は低下していきます。 高温も同じことで、呼吸が活発になるため早く体力を消耗するのでしょうか、温度が高くなる程に発芽率は低下します。
一般的には、湿気を防ぐためにチャック付きポリ袋(7x12cm程度)に入れ、不要となった海苔や煎餅などの空き缶に入れて、家の中のあまり温度の上がらない場所に保管しておくことで充分です。 ← 私はこの方法です。
また、冷蔵庫に入れておくことによって、更に種子の寿命をあげることもできるようですが、豆類やその他にもの冷蔵庫での保管が好ましくないものもありますので注意しましょう。


・ 種の話し  〜  その四 ( 種子の採取依存 )

日本の自給率は何ごとにおいても低いのはご承知のとおりであるが、種子の世界でも年々国内での採取が減ってきており、他の業界と同様に人件費の安い海外での調達に依存してきているとのことだ。

「エッ この品種も海外で作られたもの」 と、驚くことも多いようです。事実、国内での採取を農業者の方に依頼すると、当り前だがそれなりの金額を支払うことになるが、市場としての動きの鈍い固定種や在来種は、正直なところ採算性がまったく合わないということになってきている。 そんなことから、海外への採取依存が増えてきているのも時代の流れであろうか。

農産物においても輸入量は年々増加に一途を辿っており、単に安いだけの野菜が国内の農業者を厳しい状況に追い込んでいる。 狭い国土と高い人件費、量と値段では海外に到底太刀打ちできない。
現在では、”安いが幸せ” が大半を占め時代にあって、物を食べることによって生きている我々にとっては、今日の食事が明日の健康を作ると共に、食べるものを幸せにしてくれる味やその内容にこだわりのある固定種や在来種に大きな期待をしたい。
私としては、素晴らしい種子との出会いをを求めて、 今日も ・・・・・。



更に種について詳しくお知りになりたい方は、このサイトをアップした以降に野口種苗さんが
種の話しあれこれ」というサイトを立ち上げられましたのでご覧になってみて下さい。



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